人生漂流

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孤独の島 ニュージーランド 2億年の歴史

2億年前、インド、アフリカ、アラビア半島、オーストラリア、南米、南極は全部くっついていてゴンドワナ Gondwana 大陸を形成していたという。この時期はジュラ紀(ジュラシック紀)にあたり、生物史的には恐竜の天下で、誕生したばかりの哺乳類は地球の一部で細々と生きていたと考えられている。8千万年前にオーストラリアが分離して、さらに6千万年前にそこからニュージーランド(NZ)やニュー・カレドニアが離れて島となった。恐竜が絶滅したのはこの前後である。NZやニュー・カレドニアが分離して以後、それらの島には地上を徘徊する哺乳類がいなかった*1。存在していた哺乳類はコウモリとクジラなどの海獣だけであった。空を飛ぶ動物は外から入ってきた可能性があるが、哺乳類は海を越えて移動できないため長い間NZは哺乳類がいない島であった。恐竜時代からNZに棲み続けているのはトゥアタラ tuatara というトカゲに似た爬虫類(体長約80cm)である。この動物は2億年前から姿が変わっていないという。NZの主である。
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(トゥアタラの写真はWikipediaより)

NZは何千万年も鳥の天国であり続け、天敵がいないため羽根が退化して飛べない鳥が誕生し、彼らが我が世の春を謳歌していた(それが今日滅びの道をたどっていることについては別項「飛べない鳥」を参照)。NZに哺乳類が棲みつき、殖え始めるのは約1000年前(700年前という説もある)にマオリ族がポリネシアからNZに移住して以来である。マオリはネズミと犬を持ち込み、それらがNZ島に繁殖するようになった。マオリは巨大鳥モア moa を食料、衣料として狩猟し、やがてモアを獲り尽くしてモアは絶滅した*2。マオリは生物が絶滅することに危機を感じ、森は聖地であるとし、それ以後は森の中での狩猟を禁じたという話もある*3。19世紀後半にヨーロッパ人が毛皮を取る目的でポッサムを持ち込んで飼育を始めたが、毛皮人気が衰退したとき管理がずさんとなり、ポッサムが逃走して野生化したものが増えた。一時は7000万匹に達したと言われ、キウイの卵を食べるためキウイの天敵となっている。人間が新たな動物を連れてきてわずか数百年、特にこの百数十年でNZの生態系はめちゃめちゃになってしまった。
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(ポッサムの写真はナショナル・ジオグラフィックより)

現在、NZ政府はポッサム撲滅に乗り出しており、ポッサムやネズミを殺す薬を森林にまいたりしている。しかし薬剤を使うことも新たな環境問題を引き起こし、ジレンマに陥っている。生態系が変わることの重大性に気づくのはあまりに遅かった。文明の発達した国から来た人間の智恵はその程度のものであったといえる。(2010/11/26)

*1 NZとニュー・カレドニアは生物相が似ているといわれる。古代の生物相をいまだ多く残しているのはニュー・カレドニアで、棲息する脊椎動物は爬虫類と鳥類であり、哺乳類、両生類はいない。しかしそれがいつまで保存されるかは疑問である。
*2 小型の種類のモアがいまだに生きていると主張する学者もいる。もし生存するモアが見つかれば生物学上の大発見となる。
*3 http://www.bs-asahi.co.jp/bbc/history/hi_08_03.html
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by tochimembow | 2010-11-26 08:24 | モノローグ
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定年退職後、リフレッシュのためニュージーランドを半年間漂流しているうちクライストチャーチ大地震に遭遇。日本に戻ったら、またしても働くことに。 片雲の風にさそはれて漂泊の思ひやまず(芭蕉)


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