人生漂流

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装いを変えた高千穂峰

深田久弥は日本百名山の一つに霧島山を挙げています。実際は、霧島山という山はなく、霧島連山を代表する山は韓国岳(からくにだけ、1,700メートル)と高千穂峰(1,573メートル)です。その他に、昨年噴火した新燃岳や中岳、獅子戸岳、夷守岳などの山があるので、これらを含めて霧島山と言ったのでしょう。「日本百名山」を読むと高千穂峰の説明が中心です。
 下から見て美しいのは高千穂峰です。深田久弥は、「高千穂峰は神話伝説にふさわしい秀麗な山容を持っている」と書いています。(写真は2003年10月に韓国岳頂上から撮ったもの。遠くにあるのが高千穂峰、右の手前が新燃岳の火口)
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登って上から見た景色がいいのは韓国岳です。大浪池やえびの高原の西にある六観音池や不動池、新燃岳の火口、高千穂峰などを見渡す風景は国立公園の中でも第一級です。登りやすいのは韓国岳です。えびの高原から450メートルほどの高度差であることと、登山道が整備されているからです。高千穂峰は溶岩が固まった急坂を登るのが難儀で、高度差も600メートルあります。私は通勤途上、清武川に架かる橋を渡るとき、よく西の方向を見ます。三角おむすびのような高千穂峰が見えると「今日は空気が澄んでいるな」とか「山がよく見えるから登りに行きたいな」と思います。昨日、台風一過、快晴となったので、これは山登りに最適だと8時半頃に家を出て、10時過ぎに高千穂峰の登山口である高千穂河原に着きました。
 10時半に登り始めましたが、2年前、ニュージーランドに行く前に登ったときと様子が違います。登山道が砂と細かい砂利でおおわれていて、足が滑ります。昨年の新燃岳の噴火でかなりの火山灰が降ったようです。灰と言っても実際は小石や砂利です。溶岩地帯では以前は溶岩に脚をかけて、「よいしょ」と体を持ち上げていたのですが、今回は小砂利の上を歩くためずるずると滑って後退するので思うように前に進みません。1時間くらいかかってようやくお鉢(火口)の縁に出ました。2年前は赤い溶岩でおおわれていた火口壁が砂だらけになっていました。(下の写真は2010年9月のお鉢)
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(今回見たお鉢)
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お鉢まで来ると頂上が見えます。お鉢の周りの赤い溶岩が砂に隠れて見えません。この付近は地球のマグマがむき出しになったようで、凄みがあったのですが、砂だらけになって平凡な景色になってしまいました。
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火口壁を半周して鳥居がある鞍部に下り、そこから頂上まで20分ほどです。上り始めから1時間50分で頂上に着きました。前回よりやや時間がかかりました。
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上の写真でぽつんと立っているのは頂上にある天の逆鉾です。日本神話では、ここが天孫降臨の地とも言われ、イザナミとイザナギがこの鉾を突き立て、引っこ抜いたときに日本列島ができたとされています。坂本龍馬がおりょうさんと新婚旅行で高千穂峰に登ったとき、龍馬が「こんなものは偽物だ!」と言って引き抜き、投げ捨てたという逸話は有名です。
(高千穂峰頂上から見た霧島連山)
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いつも山はもっと緑々しているのですが、灰だらけでホコリっぽい山となっています。(写真は韓国岳、甑岳、夷守岳)
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山小屋の裏に回ると御池側からの登山道が見えます。この道は降灰がひどくもっと歩きにくいそうです。
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いつもは溶岩地の下りが苦手で、上りより下りの方が時間がかかるのですが、溶岩地帯が砂利をかぶっているため、下りはずるずると下がっても砂に埋もれて自然と止まるので、楽に下りることができ、1時間かからずに駐車場に戻りました。
 高千穂河原のビジターセンターで聞いたら、登山道はおそらく30センチ以上灰をかぶっただろうと言っていました。中岳は70センチから90センチの砂利におおわれているそうです。新燃岳は一連の噴火で7,000万トンの火山灰を噴出したと推定されています。噴火で新燃岳から東側は樹木がかなりやられたそうです。しかし、ミヤマキリシマは復活してきて、今年は少し咲いたとの話で安心しました。鳥は健全で、カッコーもちゃんと鳴いていますよと言っていました。
 新燃岳の麓にある新湯温泉(新燃荘)はまだ休業ですかと聞いたら、先月から再開したというので、その温泉に入ることにしました。新湯は全国の秘湯番付で西の大関となっている温泉です(横綱は屋久島の平内海中温泉)。
 新湯の近くから見た新燃岳です。噴煙は上がっていません。
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新燃荘は無事だったようです。旅館の人に「長い間、休業で大変だったですね」と言ったら「休んでいる間、建物のペンキ塗りをしていました」とのんきな答が返ってきました。
 ここは硫黄の温泉でお湯は真っ白です。入浴だけの人は露天風呂になりますが、露天の男湯と女湯の前に混浴(写真右)があります。しかし、ここで女性が混浴に入っているのは見たことがありません。
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久しぶりに新湯のいいお湯に入りました。お湯に浸かりながら、韓国岳に登ってきた人と話していたら、韓国岳の頂上から見ると新燃岳は形が大きく変わってしまっていたそうです。
 新湯から新燃岳に登るときいつもカッコーの声を聞くのが楽しみでした。ここはシーズンになると山路がミツバツツジのトンネルとなります。新燃岳に登れるようになる頃までには、霧島の美しい森が復活してほしいものです。 
(2012/10/1)
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by tochimembow | 2012-10-01 19:55 | 日本の自然
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定年退職後、リフレッシュのためニュージーランドを半年間漂流しているうちクライストチャーチ大地震に遭遇。日本に戻ったら、またしても働くことに。 片雲の風にさそはれて漂泊の思ひやまず(芭蕉)


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