人生漂流

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カテゴリ:日本の自然( 41 )

日之影・日隠林道

西都原・高取山のツツジは山全体がツツジにおおわれてそれは見事です。我々は、ツツジの中でアケボノツツジが色がきれいで、ぼんぼりのような形をしているので好きです。高取山にはアケボノツツジもあるので、観ようと4月13日に行ったのですが、ツツジはもう終わり頃でした。
 今年は花の開花が早いので、宮崎と大分の県境にある山のツツジも早いだろうと、アケボノツツジがきれいなことで知られる五葉岳、お化粧山、お姫山に行こうと、翌日は県北に出かけていきました。都農で高速を下りて、いったん一般道に入り、日向からまた高速に乗ろうとしたところでネズミ取りに捕まり、速度違反で15,000円の罰金を科せられるという幸先の悪いスタートとなりました。日之影の星雲橋から県道に入り、見立へ向かう道の途中から日隠林道に入りました。この林道がなかなかのもので、とても普通の車では走れません。30分ほど緊張した運転を続けると、案内板があって左に行けば大吹登山ルートから五葉岳、右に行けばお化粧山、お姫山と書いてあります。車は1台も停まっておらず、林道はまだ続いているので、登山口はもっと上だろうと、さらに上がっていったら大きな石がごろごろした道になりました。我々の車は最低地上高が20センチあるので、なんとか上がってはいけますが、普通の人が来るような道ではなさそうです。しかし、引き返そうにもUターンするほどの道幅もなく、妻が車を降りて誘導しながら約500㍍ほど下がって、ようやくUターンして戻ることができました。この無駄足ですっかり疲れてしまいました。
 先ほどの案内板のところでよく見ると登山口を示す小さな看板がありました。そこから杉の植林帯の中を登っていきましたが、落葉樹は枯れたままです。これではアケボノツツジは咲いていないなと判断し、約30分登ったところで引き返すことにしました。
 日隠林道を引き返していきましたが、高度が下がってくると山桜やアケボノツツジが咲いていました。桜とアケボノツツジが並んで咲いている写真です。
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頭上で咲いているアケボノツツジもありました。まだ満開ではありません。
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すぐ近くで満開のアケボノツツジを見ることはできませんでしたが、遠くに何本か咲いているのを見ました。
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滝もあります。
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大きな岩の上にがっしり立っている山桜です。
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日之影の石垣の村に出て川沿いの道をしばらく歩きました。
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このあたりの山で鹿納山や親父山は以前に登ってアケボノツツジを堪能したことがあります。お化粧山、お姫山、乙女山、五葉岳のアケボノツツジもよさそうです。それではもう一度チャレンジするかというと、あの林道を上がっていくことを考えるとウ~ムと考えてしまいます。(2013.4.14)
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by tochimembow | 2013-04-14 20:24 | 日本の自然

早くも新緑

四月に入ったばかりですが、桜はとっくに終わり、新緑が眼に鮮やかとなってきました。我が家の木々も緑々でだんだんとうっそうとしてきました。カエデの新緑が見事です。
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コナラ、ヒメシャラ、エゴ、モッコウバラなどもぐんぐん生長しています。
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山に行きたくなる季節です。
(2013.4.3)
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by tochimembow | 2013-04-03 21:23 | 日本の自然

桜、桜、桜・・・

今年は全国的に桜の開花が例年より10日ほど早いとか。最近はテレビで桜の季節となると、盛んに桜の名所を案内し、桜狂想曲を奏でています。宮崎で桜が有名なのは北郷町の花立公園(1万本)、都城の母智丘公園(2600本)、宮崎市の垂水公園(3600本)などがありますが、桜は多いけど人も多く、休日などに行くとどこもカラオケ大会をやっていて、大きなスピーカーで公園中にがなりまくるので、まことに興ざめです。
 数年前から人が来ない桜がきれいなところを見つけ、シーズンになるといつも行っています。それは、宮崎市の鏡州から椿山公園までの双石山をぐるりと回る道路沿いに咲いている桜です。もともとは人が植えたものなのでしょうが、いずれも大きな木となっていて、それぞれ木の伸び方が異なり、自然な感じになっているので楽しみながらドライブができます。
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 今年は開花が早かったため、すでに葉桜になっている木もありましたが、それも緑の葉とピンクの花の取り合わせがいいものです。
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 椿山公園の駐車場から見ると斟鉢山(くんぱちやま)、花切山の中腹に何本も咲いています。普通の人は近寄ることができない場所です。
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 山桜もまだ咲いています。
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 この道路沿いで最も美しい桜の木は鏡洲保育園の桜です。花の付き方が半端でなく、1本の木にどっさりと花がついています。ここは知る人ぞ知る名所で、私が写真を撮っているときも2台の車が停まって、写真を撮っていました。
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 桜は静かな場所で愛でるのが一番です。
(2013.3.20)
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by tochimembow | 2013-03-20 23:26 | 日本の自然

比叡山を登る

比叡山と言っても延暦寺で有名な京都・滋賀県境の山ではなく、宮崎県北部にある比叡山です。延岡から熊本へ抜ける国道218号を走っていると、日之影と北方の境目のあたりで北の方に奇妙な形の岩山が見えてきます。それが比叡山です。
 日曜日の朝11時近くになって妻が「どこか山へ行こう」と言い出し、急遽ガイドブックを開いて短時間で往復できる山を探し、比叡山に行くことにしました。今では、高速道路が都農-日向間を除いて延岡市北方まで行っているので、それほど時間がかからず日之影町に入り、比叡山登山口に着いたのは午後1時過ぎでした。
 比叡山登山のための駐車場は2個所あって、千畳敷という展望台の下の駐車場は5台ほど停められます。少し下ったところにある南側駐車場は10台ほどの駐車が可能です。
 千畳敷下の駐車場に車を止めて、千畳敷まで上がり、そこで弁当を食べました。写真は千畳敷から見た比叡山です。比叡山は見るからに荒々しい岩山で、巨大な1枚のスラブ岩はロッククライミングの練習場としても使われています。
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千畳敷の正面に谷川を挟んで矢筈岳が見えます。大昔は比叡山とは矢筈岳は一つの山だったとガイドブックには書いてあります。
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 2時頃から登り始めましたが、何しろ岩だらけの山なので、勾配が急で、ロープにつかまりながらあえぎあえぎの登りでした。3月半ばだというのにかなりツツジが咲いていました。
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とんがっているのが針の峰です。手前がスラブ岩で、ここを登ってきたという人に会いました。ザイルを体に巻き付け、ハーケンとカラビナをたくさんぶら下げていました。
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45分くらい登ると「比叡山」と標識がある場所に出ました。
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 ここが頂上かと思ったら、これは「一峰」(760㍍)で、頂上(918㍍)はここから稜線伝いに約45分くらい歩いたところだと、ガイドブックに書いてあります。しかし、国土地理院はここを頂上と定め、918㍍の地点は「稗ノ山(ひえのやま)」としているようです。918㍍の頂きまでの途中にカロンコロン岩という展望のいい場所があると書いてありますが、ここに着いたのが午後3時だったため、無理はよそうとここから引き返しました。本音は急勾配の坂で体力をかなり消耗してしまっていたからです。心の準備もなく、体力トレーニングもせずに、いきなり山に出かけたのがよくなかったと反省しました。
 しかし、なかなか面白そうな山です。4月にはアケボノツツジ、ミツバツツジ、ヒカゲツツジがきれいに咲くそうなので、それを目当てにもう一度行ってみようかなと思いました。今度は早く出発することにして。
(2013.3.10)
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by tochimembow | 2013-03-12 18:52 | 日本の自然

本当の日南海岸

日南海岸というとたいてい宮崎市の青島やそこから南に数キロ続く鬼の洗濯岩をイメージするでしょう。しかし、日南海岸が本当に美しいのは宮崎から50キロも南に下って、日南市南郷町から串間市都井岬までの間です。
(串間市恋ヶ浦)
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東京から来た人は青島でも「海がきれいだ」と言いますが、南郷あたりまで来ると海の色が全く違います。

(ダイビングに絶好な南郷町夫婦浦。たくさんの熱帯魚や珊瑚礁を見ることができます)
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そして海岸線が入り組んでいて、島が点々と現れてきます(日向市から日南市までの約100キは島がほとんどない平坦な海岸線です)。
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 この付近は魚がおいしく、たいていの店は定食を頼むと魚やカニが入った味噌汁がついてきます。目井津港はカツオの漁港で、漁協が経営しているレストラン「港の駅めいつ」はランチのみですが、平日でも行列ができていて、休日は1時間は待たされるほど超人気です。そこで待ちきれない人は近くの食堂でも十分おいしい食事を取ることができます。ここの漁港の売店で売っているアジの開きは絶品です。脂がよく乗っていて、一枚が二人で十分なほど大きいものです。私は、北海道のホッケよりおいしいと思っています。もう一つオススメはカツオです。春の初カツオ、秋の戻りカツオのシーズンはこの付近の食堂でカツオめしをぜひ食べてみてください。
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 南郷に入って都井岬に向かって走っていき、道の駅なんごう(ここも食事がおいしい)を過ぎたあたりで「宮崎県総合農業試験場 亜熱帯作物支場」というしかつめらしい名前の看板が出てきます。このあたりまでドライブできたときは、実はここがぜひ寄ってみてほしいスポットです。ここのトロピカルドームという大温室に入ってみてください(入場無料)。さまざまな亜熱帯・熱帯植物があります。
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色鮮やかな花が咲き乱れています。
(カエンカズラ)
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(ベニヒモノキ)
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(ユーチャリス)
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入口に今、見頃の花の紹介がありますから、どこに咲いているか探してみてください。
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美しい海、美しい花、おいしい魚料理と十分満足できるドライブができます。
(2013.2.10)
 
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by tochimembow | 2013-02-23 22:48 | 日本の自然

フローランテ宮崎 ひかりのはなぞの

シーガイア近くのフローランテ宮崎で夜にイルミネーション・ガーデン「ひかりのはなぞの」をやっているので、観に行こうということになり、孫を連れて行ってきました。
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昼に見る庭園とは全く違う、イルミネーションで彩られた幻想的な風景となっていました。
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孫娘のあーちゃんも魅入っているようでした。
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イルミネーション・ガーデンは来年1月14日まで開催されています(夜9時半閉園)。
(2012.12.27)
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by tochimembow | 2012-12-29 17:21 | 日本の自然

えびの高原池めぐり

一週間前に高千穂峰に登ったばかりですが、今日は大浪池を一周しようと出かけました。ところが大浪池の登り口付近は路肩まで車だらけで、駐車する場所が全くありませんでした。そこでえびの高原駐車場に車を置いて、白紫池、六観音池、不動池の池めぐりをすることにしました。
 白紫池への分岐点から白鳥山に登って、二池展望台から見たパノラマです。左は白鳥山と白紫池、中央は六観音池と甑岳(こしきだけ)、右は韓国岳
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(六観音池と甑岳)
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六観音池越しに見た韓国岳です。
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もう少し早い時間に着いていれば韓国岳に登ったのですが、2時近かったので、池めぐりとなりました。それでも12,000歩の歩きでちょっとした上り、下りもあり、いい運動でした。(不動池)
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(2012.10.6)
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by tochimembow | 2012-10-08 14:34 | 日本の自然

装いを変えた高千穂峰

深田久弥は日本百名山の一つに霧島山を挙げています。実際は、霧島山という山はなく、霧島連山を代表する山は韓国岳(からくにだけ、1,700メートル)と高千穂峰(1,573メートル)です。その他に、昨年噴火した新燃岳や中岳、獅子戸岳、夷守岳などの山があるので、これらを含めて霧島山と言ったのでしょう。「日本百名山」を読むと高千穂峰の説明が中心です。
 下から見て美しいのは高千穂峰です。深田久弥は、「高千穂峰は神話伝説にふさわしい秀麗な山容を持っている」と書いています。(写真は2003年10月に韓国岳頂上から撮ったもの。遠くにあるのが高千穂峰、右の手前が新燃岳の火口)
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登って上から見た景色がいいのは韓国岳です。大浪池やえびの高原の西にある六観音池や不動池、新燃岳の火口、高千穂峰などを見渡す風景は国立公園の中でも第一級です。登りやすいのは韓国岳です。えびの高原から450メートルほどの高度差であることと、登山道が整備されているからです。高千穂峰は溶岩が固まった急坂を登るのが難儀で、高度差も600メートルあります。私は通勤途上、清武川に架かる橋を渡るとき、よく西の方向を見ます。三角おむすびのような高千穂峰が見えると「今日は空気が澄んでいるな」とか「山がよく見えるから登りに行きたいな」と思います。昨日、台風一過、快晴となったので、これは山登りに最適だと8時半頃に家を出て、10時過ぎに高千穂峰の登山口である高千穂河原に着きました。
 10時半に登り始めましたが、2年前、ニュージーランドに行く前に登ったときと様子が違います。登山道が砂と細かい砂利でおおわれていて、足が滑ります。昨年の新燃岳の噴火でかなりの火山灰が降ったようです。灰と言っても実際は小石や砂利です。溶岩地帯では以前は溶岩に脚をかけて、「よいしょ」と体を持ち上げていたのですが、今回は小砂利の上を歩くためずるずると滑って後退するので思うように前に進みません。1時間くらいかかってようやくお鉢(火口)の縁に出ました。2年前は赤い溶岩でおおわれていた火口壁が砂だらけになっていました。(下の写真は2010年9月のお鉢)
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(今回見たお鉢)
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お鉢まで来ると頂上が見えます。お鉢の周りの赤い溶岩が砂に隠れて見えません。この付近は地球のマグマがむき出しになったようで、凄みがあったのですが、砂だらけになって平凡な景色になってしまいました。
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火口壁を半周して鳥居がある鞍部に下り、そこから頂上まで20分ほどです。上り始めから1時間50分で頂上に着きました。前回よりやや時間がかかりました。
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上の写真でぽつんと立っているのは頂上にある天の逆鉾です。日本神話では、ここが天孫降臨の地とも言われ、イザナミとイザナギがこの鉾を突き立て、引っこ抜いたときに日本列島ができたとされています。坂本龍馬がおりょうさんと新婚旅行で高千穂峰に登ったとき、龍馬が「こんなものは偽物だ!」と言って引き抜き、投げ捨てたという逸話は有名です。
(高千穂峰頂上から見た霧島連山)
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いつも山はもっと緑々しているのですが、灰だらけでホコリっぽい山となっています。(写真は韓国岳、甑岳、夷守岳)
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山小屋の裏に回ると御池側からの登山道が見えます。この道は降灰がひどくもっと歩きにくいそうです。
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いつもは溶岩地の下りが苦手で、上りより下りの方が時間がかかるのですが、溶岩地帯が砂利をかぶっているため、下りはずるずると下がっても砂に埋もれて自然と止まるので、楽に下りることができ、1時間かからずに駐車場に戻りました。
 高千穂河原のビジターセンターで聞いたら、登山道はおそらく30センチ以上灰をかぶっただろうと言っていました。中岳は70センチから90センチの砂利におおわれているそうです。新燃岳は一連の噴火で7,000万トンの火山灰を噴出したと推定されています。噴火で新燃岳から東側は樹木がかなりやられたそうです。しかし、ミヤマキリシマは復活してきて、今年は少し咲いたとの話で安心しました。鳥は健全で、カッコーもちゃんと鳴いていますよと言っていました。
 新燃岳の麓にある新湯温泉(新燃荘)はまだ休業ですかと聞いたら、先月から再開したというので、その温泉に入ることにしました。新湯は全国の秘湯番付で西の大関となっている温泉です(横綱は屋久島の平内海中温泉)。
 新湯の近くから見た新燃岳です。噴煙は上がっていません。
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新燃荘は無事だったようです。旅館の人に「長い間、休業で大変だったですね」と言ったら「休んでいる間、建物のペンキ塗りをしていました」とのんきな答が返ってきました。
 ここは硫黄の温泉でお湯は真っ白です。入浴だけの人は露天風呂になりますが、露天の男湯と女湯の前に混浴(写真右)があります。しかし、ここで女性が混浴に入っているのは見たことがありません。
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久しぶりに新湯のいいお湯に入りました。お湯に浸かりながら、韓国岳に登ってきた人と話していたら、韓国岳の頂上から見ると新燃岳は形が大きく変わってしまっていたそうです。
 新湯から新燃岳に登るときいつもカッコーの声を聞くのが楽しみでした。ここはシーズンになると山路がミツバツツジのトンネルとなります。新燃岳に登れるようになる頃までには、霧島の美しい森が復活してほしいものです。 
(2012/10/1)
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by tochimembow | 2012-10-01 19:55 | 日本の自然

椎葉 森の民宿・龍神館 椎葉英生さんを偲ぶ

かつて日本交通公社(JTB)から「旅」という雑誌が出ていました(1924年に創刊された日本で最古の歴史を持つ旅行雑誌でしたが、今年の2月に廃刊)。16年前に「旅」で“椎葉の民宿”という特集があり、そこに椎葉の民宿“龍神館”が紹介されていました。写真で見る建物の見事さと食事が素晴らしいという記事に興味を引かれ、妻と龍神館に行ってみようということになり、電話で予約しました。昼頃宮崎を出て、日向から国道327号線をたどり、諸塚村を通って椎葉村に入りましたが、途中あちこちで道路工事があり、30分待ちなどの個所がいくつもあったため、椎葉村に入ったときは薄暗くなっていました。そこから日向椎葉湖に沿って龍神館がある下福良の方に向かいましたが、行けども行けども人家がなく、果たして行き着けるのかと不安にかられたころ、下福良集落に出て、龍神館に着いたのは午後7時を過ぎ、真っ暗でした。
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 (「旅」1996年11月号より)

椎葉村は800年前、平家の残党が隠れ住んでいたことで知られています。「平成のこの時代でも行き着くのにこれだけ大変なのだから、鎌倉時代に彼らが身を潜めているには格好な土地だったろうな、それを見つけて追っかけていった源氏も大したものだ」などと車の中で話したものでした。このときはまさに秘境に来たという実感でした。

龍神館のオーナーが椎葉英生さんでした。広大な山林の持ち主で、自分の山の杉を使ってログハウス風の民宿を建てられ、椎葉で採れた食材(山菜、キノコ、イノシシ、ヤマメなど)を使った食事を提供されていました。宿泊客は我々2人だけで、いかにも山の宿という雰囲気の囲炉裏を切った部屋での夕食に、料理が次から次へと食べきれないほど出てきました。奥深い山にこんなにたくさんの食材があるというのが驚きでした。焼酎を飲みながら椎葉夫妻と夜遅くまで山の生活について語り合いました。
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(写真は9年前に霧立越の入口を案内してくれたときの椎葉英生さん)

それからすっかり龍神館のファンとなり、何度となく泊まりに出かけました。行くたびにいろいろな話をしてくれました。料理に出される岩茸を崖の絶壁で採ることの難しさ、椎葉の山中にある誰も知らない大滝、季節季節にひっそりと咲く山の花の美しさ、イヌワシやタカの生態など。また椎葉さんにソバ打ちを習ったり、奥さんに山菜料理を習ったり、扇山、霧立越、白鳥山などきれいなところを紹介されました。
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(初めて椎葉さんにソバ打ちを教わったとき 1999年)

特に、5年前の秋に歩いた霧立越は九州でもっとも感動的な山歩きでした。
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霧立越は椎葉と五ヶ瀬を結ぶ全長15キロに及ぶ九州山脈上の尾根路で、昔は平家の落人が逃げ延び、明治の西南戦争のときは西郷軍が敗走していったという歴史もあります。椎葉さんは、ぜひここを歩いてみなさいと勧め、椎葉側から登り始めた我々のために車を到着地点である五ヶ瀬スキー場まで運んでくれました。南九州でこんなに素晴らしい紅葉が見られるのかと驚きました。平坦な尾根路を歩いていると、ここで打ちひしがれた武士や馬がどういう思いでこの景色を見ていたのだろうと感慨ひとしおのものがありました。

椎葉さんに最後に会ったのは3年前で、そのときは1ヶ月前に秋篠宮が泊まりに来たんですよと話され、その部屋に泊まらせてくれました。秋篠宮は夜遅くまで焼酎を飲んで、よく語っていたそうです。龍神館には有名人がいろいろ来るそうで、テレビに出ているこんな俳優が来たなどの話をよく聞いていました。


新聞で、6月18日に椎葉さんがトラクターの事故で亡くなったという記事を読み、大変驚きました。弔問に行こうと思っていたのですが、梅雨で道路が不通になっている個所があったりで、龍神館に行ったのは7月29日でした。奥さんの話では、トラクターで農作業をしていて、山の斜面を下るとき、ギアがニュートラルに入り、ブレーキがきかなくなり、トラクターが坂道を暴走して、川に転落して亡くなったということでした。70歳でした。突然の死に、奥さんの悲しみはいかほどのものであったろうかと胸が痛みます。民宿はしばらく休業していましたが、奥さんは民宿を再開することに決め、1日前からお客さんを泊めるようになったとのことでした。しかし、ご主人がいないので、宿泊客の数は制限するそうです。

生前、椎葉さんは山のことを熟知し、さまざまな知恵を駆使して、自然を生活に取り込んでいる人でした。ご自分の山のイタヤカエデからメープルシロップを採って、客に振る舞うのだと言っておられましたが、結局そのメープルシロップをごちそうになる機会がありませんでした。また近くの山に遊歩道を作って、お客さんに散歩してもらうという構想も語っておられましたが、それも実現する前に亡くなられました。

我々が行ったとき、龍神館にはその日泊まる予定の鹿児島から来た4人のお客さんがいました。また熊本から渓流釣りに来た女性がお線香をあげに来て、皆で椎葉さんの思い出話にしばしふけりました。

龍神館に着いたあと、かなり激しい雨になりましたが、帰る頃は雨が上がって、日向椎葉湖の神秘的な姿が見えました。
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湖は上椎葉ダムでせき止められて、満々と水をたたえていました。
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椎葉には取り立てて珍しい風景があるわけではなく、温泉が出るわけでもありません。しかし、龍神館に泊まって山を見ていると古代から日本人はこのように自然とともに暮らしてきていたのだなという不思議な感情が湧き起こってきます。四季違った風景が見られ、いつ来ても飽きることがありません。山を見ていると、その風景の中に自分が溶け込んでいくような気がします。

椎葉は人の心に不思議な作用を及ぼすところです。どういう作用かを知るには、乃南アサの「しゃぼん玉」という小説をお薦めします。心のすさんだ若者が椎葉に迷い込み、民家に泊まっているうちに、人間本来の生き方に戻っていくというストーリーです。その中に、村の老人が「平家を追っかけて源氏がやって来て、戦にもならず、仲良く暮らしたのはここ(椎葉)だけじゃ」と語る言葉が出てきます。これは椎葉にいて、自然に溶け込んでいると、本来の人間に戻るということでしょう。椎葉では日本人の生活のルーツのようなものを感じ取ることができます。
(2012.7.30)
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by tochimembow | 2012-07-31 21:15 | 日本の自然

由布岳に登る

湯布院の温泉宿に泊まるとどの旅館からでも由布岳(1,584メートル)の大きく、優美な姿が見えます。深田久弥は「日本百名山」の「後記」で、日本百名山には入れなかったが、由布岳はそれに次ぐいい山だと言っています。湯布院に泊まるたび、あの山に登ってみたいと思っていましたが、なかなか実現しませんでした。

今回のGWで大分に住む友人を訪ねた帰りに由布岳に登りました。友人の話では登山口の駐車場には20台ほどしか車を停めることができないから朝6時前に着くようにしないといけないと言われていたのですが、実際には無料駐車場の前に有料駐車場(500円)があって、9時頃到着しても悠々駐めることができました。

正面登山口から登山道に入ってすぐはなだらかな草原です。
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そこを抜けると雑木林に入りますが、新緑で目を洗われるようです。
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キスミレやエヒメアヤメなどが咲いています。
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マタエという鞍部に着くと登山道が西峰と東峰に分かれます。登山者に聞くと西峰の方が鎖場があって、崖をよじ登るので怖いが、東峰は簡単だと言われ、まず西峰に登ることにしました。マタエからすぐに鎖に頼って登ることになります。
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鎖場は3個所ありますが、カニの横ばいのように歩くところもあり、スリルに満ちています。
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登山口から2時間10分で西峰の頂上に立ちました。
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そこからまた鎖に捕まりながらマタエに降りて、東峰に登りました。頂上までは15分です。写真は西峰から撮った東峰の頂上です。
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このGWは、東日本は竜巻が発生するなど天候が大荒れだったようですが、九州はとてもいい天気で、我々は2回山歩きに行き、大分で関アジ・関サバに舌鼓を打ち、温泉にも3回入り、充実した連休でした。
(2012.5.6)
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by tochimembow | 2012-05-07 13:53 | 日本の自然
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定年退職後、リフレッシュのためニュージーランドを半年間漂流しているうちクライストチャーチ大地震に遭遇。日本に戻ったら、またしても働くことに。 片雲の風にさそはれて漂泊の思ひやまず(芭蕉)


by tochimembow
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