人生漂流

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リトル・マウント・ピールに登る Little Mt. Peel

今日はクライストチャーチの南西約150キロにあるリトル・マウント・ピール Little Mt. Peel (1,311m) の登山を試みました。昨年11月に歩いたマウント・ハット Mt. Hutt より南にあります。頭にリトルがついているのは近くにマウント・ピール (1,743m) があるからで、こちらはその子分というわけです。前日の予報では晴れだったのですが、どんより曇っています。道路がわかりにくく、登山口に着いたのは昼近くになっていました。ガイドブックでは往復6~7時間かかると書いてあるで、時間がちょっと心配です。登山口から頂上まで1,000メートルの高度差があります。

最初はシダの林の中を登っていきます。木性シダもかなりあります。
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やがてリトル・マウント・ピールが見えてきました。きれいな形の山です。
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山の反対側に目を転ずると眼下にカンタベリー平野が広がっています。
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稜線に出ると木道が整備されており、歩きやすいのですが、冷たい風が強く吹いていて寒く感じます。マーガリートの花があちこちに咲いています。
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下の写真のような花もありました。あとで図鑑を見たらウイロウハーブ willowherb という花に似ているのですが、葉の形がちょっと違うようです。
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遠くに見える雪が残っている山はサザン・アルプスと思われます。
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あと30分で頂上かというところまで来て風が強くなり、雨がポツンポツンと落ち始めました。どうしようかと迷ったのですが、前線の動きが速そうなので、安全を期して頂上はあきらめて、引き返しました。
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帰りに車を運転しているとき、畑の土が飛んで視界を遮るくらい風が強くなっていました。帰宅して夜になると突風が吹き始めました。
 頂上を極められなかったのが残念です。
(2011/1/30)
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by tochimembow | 2011-01-30 17:50 | トラッキング

アーサーズ・パスを歩く2 オティラ谷とデブリス・パンチボウル滝

アーサーズ・パス Arthur's Pass を歩くのは2回目です。前回来たのは12月始めで山はかなり雪をかぶっていましたが、真夏の今は高い山だけ雪が残っています。リンドン湖 Lake Lyndon 付近から見たアーサーズ・パスの遠景です。
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今回は峠から西へ約5キロ車で走ったところにスタート地点があるオティラ・バレー・トラック Otira Valley Track を歩きました。オティラ渓谷の左にはアーサーズ・パス最高峰のマウント・ロールストン Mt. Rolleston (2275m) があるのですが、ここからは見えません。
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国道の反対側にはマウント・テンプル Mt. Temple (1913m) が見えます。前回はマウント・テンプルのスキー場まで歩きました。
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石ころだらけの道を40分も歩くと橋があって、これから先は危険なので熟練者のみという立て札があり、それ以上は断念しました。
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そこで弁当を食べて、引き返しました。右はマーガリートですが、左の花は名前がわかりません。
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ニュージーランドのトンボです。日本のオニヤンマくらいの大きさがあります。
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往復1時間半くらいの行程で、これだけでは物足りないので、インフォメーション・センターの近くにあるデブリス・パンチボウル滝 Devlis Punchbowl Falls を見に行きました。駐車場からちょっと歩くともう滝が見えます。
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木の階段をフウフウ言いながら15分ほど登ると滝の直下に来ました。高さは131メートルあります。近すぎて全景が写真に入りません。
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近くで見ると水量が多いためかなり豪快でした。

アーサーズ・パス国立公園にはさまざまなコースがあり、コースによって趣が異なり、クライストチャーチから日帰りができるので滞在中にもう何回か来てみたいところです。
(2011/1/25)
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by tochimembow | 2011-01-25 18:12 | 国立公園とその周辺

グロービッシュの時代 英語は変わる

ニュージーランド(NZ)英語がアメリカ英語と違う点があることはすでに書きましたが、いろいろなNZ人と話すとNZ英語はイギリス英語とも違うと言います。todayを「トゥダイ」、eightを「アイト」のように発音するのはロンドンの下町英語(コックニー英語)と同じですが、コックニー英語のようにhurricaneを「アリケーン」とは発音せず、「ハリケーン」と言っています。彼らにアメリカ人と話すとき支障はないかと聞くと「自分の英語がアメリカ人にまったく通じないことがあった」とよく言います。しかし彼らは自分の発音が間違っているとは全然思っておらず、アメリカ人の発音は自分たちとは違うものなのだと認識しているだけです。

アメリカ、カナダ、イギリス、オーストラリア、ニュージーランドといった英語国に非英語圏から来た外国人はかなりの多数にのぼりますが、彼らの話すことを聞いていると流暢に英語を話す人は少数です。アジア系の店に行くとほとんど英語が話せない店員がいて、何か聞くと英語ができる人を呼びにいったりします。あれで仕事になるのだろうかと思いますが、英語ができなくて困っているようには見えません。英語を使わずに英語の国で暮らすことに慣れています。

ジャパニーズ・イングリッシュ(Japanglish)、チャイニーズ・イングリッシュ(Chinglish)、スパニッシュ・イングリッシュ(Spainglish)などは今や大手を振って通る国際英語となっています。昔はアメリカ人のように巻き舌で、複数の単語をつなげて話そうと苦労したものですが、そんな話し方ができなくても全く恥じる必要のない時代になってきました。

最近「グロービッシュ」(globish)という言葉が広まっています。これはグローバル(global) とイングリッシュ(English) をブレンドした言葉で、1500語のボキャブラリーで、文法も基本的なものだけを使って、コミュニケーションを図るというものです。IBMの国際市場担当副社長であったネリエール Jean-Paul Nerrière というフランス人がビジネスの世界で外国人同士が話すときの手段として提唱したものですが、それが一般に普及してきました。

ネリエール氏は、英語会話者を分類すると、非英語国の人が非英語国の人と英語で話すのが74%、英語国の人と非英語国の人が話す場合が22%で、英語ネイティブな人同士の会話は4%しかないのであって、非英語国同士の人が使う英語が圧倒的に多いという調査結果を紹介しています。そう事情を見て英語を母国語としない人々が多くのボキャブラリーと複雑な文法を覚えずに使える国際共通語を創成したと説明しています。

英語を母国語とする人にとって英語のグローバル化は歓迎すべきことでしょうか?世界のどこに行っても自分の言葉で通じるというのは便利でしょう。しかし一方、あちこちで英語が多様化し、変形していくと伝統的な英語文化そのものが崩れる危険性もあります。グロービッシュはブロークン英語を広めることになると批判する人もいます。しかしグロービッシュのHPを見る限り、受動態はなるべく使わないようにして、能動態で表現する、一つの文章は15語以内にするなどの指針はあるものの、間違った文法(述語を省くなどの簡略化しすぎた文法)を勧めているわけではありません。語彙にしても私がこの4ヶ月近くで話した英単語は1500語どころか、1000語にもはるかに及ばないのではないかと思います。ですからグロービッシュをマスターしておけば外国で困ることはまず起こらないだろうというのが実感です。グロービッシュが非英語圏の人々の間で一つの規格として定着しても英語の基本は守られると思います。

問題は発音です。正統な英語発音というものはあるのでしょうか。イギリスの知識人はBBC放送で話す英語が正統(クィーンズ・イングリッシュ)だと主張しますが、今や少数にすぎません。英語圏そのもので国によって発音(アクセントもふくめて)が異なってしまっている以上、発音のスタンダードはもはやないと言っていいのではないでしょうか。グロービッシュは発音については具体的なガイドラインを示していません。話すときはストレスを置く場所を間違えずに、できるだけ身振りや絵などを使うということとストレスがないシラブルの母音(schwa シュワ*)を正しく発音するようにと指導しているだけです。経済発展が著しいBRIC(ブラジル、ロシア、インド、中国)はすべて非英語圏(インドは英語を準公用語としているが、日常生活で使われてはいない)でその人口を合わせるとほぼ30億人になります。その人たちが国際政治、経済、文化、学問の分野で英語を共通語として使っているわけですから彼らの発音がネイティブな英語に与える影響は計り知れないものがあります。中国人の三人に一人が英語を話すようになれば、英語をネイティブとする人の数を超えてしまいます。言葉は話す人の数で決まる面があるので、チャイニーズ・イングリッシュが世界を席巻するようになったとき、英語の発音はどのように変わってしまうのでしょう。

参考
http://www.globish.com/ グロービッシュのホームページ。1500語のリストをダウンロードできます。

http://www.bbc.co.uk/worldservice/learningenglish/ イギリスBBC放送の英語eラーニングページ。非常によくできたページです。

* schwa についての説明は「続きを読む」で。
(2011/1/22)

続きを読む schwaとは?
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by tochimembow | 2011-01-22 11:28 | 英語苦労話

ワイナリーを見ながらクライストチャーチへ戻る

3泊4日の旅行中2泊はピクトンのサニーベイル・モーテルに泊まりましたが、このモーテルでカヤックを貸し出すという看板があったので、到着した日にご主人のColinさんに最後の日の朝はカヤックをやってみたいと頼みました。すると「カヤックは舵取りが難しく、スピードが出るので初めての人には危険だ。まずカヌーをやって、慣れてからカヤックに行く方がいい」と言われました。そもそもカヤックとカヌーの違いもよく知らず、かつ先日のマウンテン・バイクでの事故が頭をよぎったので「それではカヌーを漕ぎたいから教えてくれ」と頼んでありました。
 最後の日(1月18日)、朝起きると小雨です。Colinさんは「これから雨が強くなるという予報だからカヌーは無理だろう」と言われ、あきらめて帰ることにしました。ここマールボロ地方 Marlborough District はNZ最大のワイナリー地帯です。日中はさんさんと太陽が降り注ぎ、夜は冷え込むのでいいブドウができるようです。60以上のワイナリーがあり、マールボロ・ワインは今や世界的なブランドになりつつあります。ワイナリーによっては試飲(テイスティング)ができたり、レストランを併設しています。Colinさんに「どこかワイナリーに寄って帰りたいけど、どこがいい?」と聞くと「Hunter'sかHighfield Estateがいいだろう。Highfieldには塔があるから、そこに上がって眺めるといいよ」と言われました。
 マールボロ・ワイン地帯の中心はブレナム Blenheim です。ブレナムの町に入り、そこから空港の方へ向かい、Highfield Estate ワイナリーに来ました。ここはレストランを持っています。
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看板には午前10時にオープンとあります。20分ほど早く着いてしまい「まだ入ってちゃだめ?」と聞くと「いいよ」と言われたので、中に入りワインやお土産物を見ていたら「塔に上がりたければ鍵を開けてあげる」と言われ、塔に入れてもらいました。さして高い塔ではありませんが、上から見るとブドウ園がよく見えます。
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車を運転するので試飲をするわけにはいきませんでしたが、いつかワイナリーでワインを飲みながら食事をしたいものです。ワインのことは詳しくないのですが、マールボロ・ワインはシャルドネ Chardonnay 、ソーヴィニヨン Sauvignon Blanc 、リースリング Riesling など白系がいいらしいです。
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そこを去って東海岸の1号線沿いに南下しました。次第に雨が間段なく降ってくるようになってきました。ブレナムから30分くらい走ると砂浜が長く続く海岸に出ました。カイコウラ Kaikoura から20キロほど北にあるオハウ・ポイント Ohau Point で撮った写真です。
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晴天のとき限りなく青い海もきれいですが、雨天で無彩色に近い海は凄味があります。
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カイコウラの北約80キロは砂浜がずっと続いているので、天気がいい日に走ってみようと思っています。
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クライストチャーチ北50キロにあるワイパラ地方 Waipara もワイン地帯です。国道沿いのワイナリー、マッド・ハウス Mud House Winery & Cafe でトイレ休憩を取りました。
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クライストチャーチに近く、お昼時でもあったため駐車場は車でいっぱいでした。この後篠つく雨となりましたが、無事クライストチャーチに帰り着きました。中身の濃い4日間の旅行だったため、帰宅するとどっと疲れが出て、夕方まで寝ていました。
(2011/1/18)
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by tochimembow | 2011-01-20 06:20 | クライストチャーチと近郊

クイーン・シャーロットを歩く Queen Charlotte

マールボロ・サウンド Marlborough Sound は南島の北端にあって、クイーン・シャーロット・サウンド、ケネプル・サウンド、ペロルス・サウンド、マハウ・サウンドなどを含む複雑に入り組んだ地域一帯を指します(地図)。ここは国立公園には入りませんが、アベル・タスマン国立公園に引けを取らない人気があります。
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マールボロ・サウンドの中心がクイーン・シャーロット・サウンド Queen Charlotte Sound で、ここに張り出した半島にクイーン・シャーロット・トラック Queen Charlotte Track (全長約70キロ)があります。ミルフォード・トラックを歩いたとき、ガイドさんからクイーン・シャーロット・トラックは素晴らしいからぜひ歩けと言われていました。アベル・タスマン・トラックと同様、ここも水上タクシーで運んでもらって、ピックアップしてもらう地点まで歩きます。

モーテルのご夫婦に聞いたら、人気があるのはトラック一番奥のシップ・コーブ Ship Cove* からエンデバー・インレット Endeavour Inlet まで歩くコースだと言われ、水上タクシーが発着するピクトン港の桟橋に行き、市営駐車場に車を置いて、船に乗りました。
* Ship Cove はジェームス・クックがエンデバー号 The Endeavour でここに着岸したときにつけられた名前です。Endeavour Inlet (エンデバー入江)もここから名付けられています。

クイーン・シャーロット・サウンドはかなり深く入り込んだ入江で、シップ・コーブまでは1時間以上かかります。
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クイーン・シャーロット・サウンドの小さい入江に大体1軒ずつ家が建っています。道路がなく水上からしか行き来はできないようです。電線が見えるので、電気は来ているのでしょうが、水はどうしているのでしょう。Beach Comberという会社の水上タクシーは宅配便を兼ねていて、配達物がある入江に寄って、手紙や荷物を渡したり、預かったりしながら我々を運んでいきます。
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途中でイルカの一群に出会いました。きれいな女の子につきまとう男の子のようにドルフィン・ウォッチングの船がイルカの後を追っています。
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1時間半近くかかってシップ・コーブに着きました。
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ここから約4時間のコースです。すぐに200メートルほど上ります。高いところから見る海の色が何とも言えずきれいです。
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それから下ってレゾルーション湾 Resolution Bay に出ます。
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そして再び200メートルほど登って、高いところを約1時間半歩きました。
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海の色はアベル・タスマンよりこちらの方が美しいような気がします。

歩いているとき写真のような鳥が何度も出てきました。キウイに似ていますが、キウイよりくちばしが短く、これはウエカ weka です。
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人の気を引くように目の前で地面をつついたりしていて、近づくとトットットと前を走っていきます。
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何度も遭遇しましたので、よっぽど人好きな鳥のようです。他にもきれいな声で鳴くベルバード(ウグイスと同じような色をしています)bellbird、尻尾を拡げると白い扇のようになるファンテイル fantail なども出てきましたが、しょっちゅう動くのでいい写真が撮れませんでした。ファンテイルは見せびらかすように、枝から枝へと飛び移っては尻尾を拡げます。このトラックは実に多くの鳥が美しい声で鳴いていて、鳥に興味がない人でもその声には魅せられてしまいます。ボイス・レコーダーを持って来なかったことを後悔しました。

水際を歩くのもいいものですが、高いところから木の枝越しに見る海もきれいです。
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エンデバー入江に近くなると道は海の際にやってきます。
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船が来るのは Furneaux Lodge というロッジがあるところで、ここで約1時間待ちました。

帰りの船でイルカの群れに遭遇しました。船長さんが船のスピードを落とすと、イルカが船に併走して泳いでいました。
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イルカがジャンプする瞬間を写真に撮りたかったのですが、うまくタイミングが合いませんでした。
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それからしばらく行ったところで望遠鏡をのぞいていた船長さんが岩の上にペンギンが2羽いるのを見つけ、船を寄せてくれました。あいにくそのとき居眠りをしていて、乗客がペンギンだと騒いでいるのを聞きつけて、甲板に行ったのですが、カメラの準備が遅く、写真撮影に失敗しました。今回、最大の後悔です。見たのは大型のイエロー・アイド・ペンギン(キガシラペンギン) yellow eyed penguin 2羽ではないかと思うのですが、このペンギンはもっと南に棲息すると言われているので確信はありません。

こうしてこの日のウォーキングは終わりました。海もきれいでしたが、美しい鳥の声、フレンドリーなウエカ、ファンテイル、ベルバード、それにイルカとペンギンのおまけまでついて充実した一日でした。

車でモーテルに帰るとき「駐車違反」の切符が挟んであるのに気がつきました(その顛末は「駐車違反に抗議する」を参照)が、その罰金くらい許せる気持ちです。
(2011/1/17)
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by tochimembow | 2011-01-19 18:18 | 国立公園とその周辺

アベル・タスマンを歩く Abel Tasman Track

アベル・タスマン Abel Tasman について
アベル・タスマン(英語ではエイベル・タズマン)はニュージーランド、タスマニア、フィジーを発見したオランダ人で、1642年に現在のアベル・タスマン国立公園の西にあるゴールデン・ベイで陸地を見つけましたが、彼はそこを南米チリの南端だと思い込んでいました。湾に停泊しているとき、マオリ人が2艘のカヌーに乗って「敵がきたのか友達が来たのか」と偵察に来ました。そのときオランダ人が突然トランペットを吹いたため、マオリは敵の攻撃と錯覚して戦となり、オランダ側は4人の船員を殺されたため、上陸しないままで離れました。タスマンはここを「殺人者の湾」と名付け、二度とニュージーランドには来ませんでした。一方、マオリはそれ以来ヨーロッパ人に敵対的となります。タスマンの名前にちなんでタスマン海峡、タスマニアなどの地名が残っています。ヨーロッパ人が本格的にニュージーランドに来るのはそれから127年後で、ジェームス・クックが来たときです。

アベル・タスマン・トラックについて
アベル・タスマン国立公園はNZで最も小さい国立公園でありながら、もっとも人気の高いところです。公園の中に全国で9ヶ所あるグレート・ウォークス Great Walks の一つアベル・タスマン・トラック Abel Tasman Track があります。世界的に有名なグレート・ウォークスはミルフォード・トラックですが、NZ人がもっとも好むのはこのアベル・タスマン・トラックです。海岸線に沿って全長71キロの歩道があり、ミルフォード・トラックのように人数制限がないため、どこでも自由に歩けます。ただし寝具と食事を提供するロッジが少なくハット(小屋)泊まりとなるため、完歩するには寝袋と食料をかついでいかなければなりません。しかし乗り合いの水上タクシー water taxi を使えば、希望する場所に連れて行ってくれ、希望の場所でピックアップしてくれるので、日帰りができ、その手軽さもあるため人気があります。

前日ネルソンに泊まって、翌朝水上タクシーが出るカイテリテリ Kaiteriteri まで車で行きました。写真はカイテリテリの海岸で、朝8時頃から海水浴客、水上スキーの人などで賑わっています。
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水上タクシーは桟橋から出港するわけではなく、砂浜に板を渡してそこから乗客は船に移ります。私が乗った水上タクシーは80人ほど乗れる結構大きいものです。
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私はバーク・ベイ Bark Bay というところで降ろしてもらい、4時間後にトレント・ベイ Torrent Bay でピックアップしてもらうよう予約しました。バーク湾に向かう途中にスプリット・アップル・ロック Split Apple Rock (割れたリンゴの岩)という岩の横を通ります。真ん中からきれいに二つに割れています。
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このあたりでは岩の上でオットセイが寝そべっているのが見えます。ペンギンがいるのも一度見ましたが、残念ながらカメラを準備する暇がなく、船が通り過ぎました。

バーク湾で下船して南に向かって歩き始めました。ガイドブックにはバーク湾からトレント湾まで3時間、9キロの歩程とあります。写真の木は tree fern (シダの木)です。
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海に沿った道を上り下りしながら歩きますが、一番高いところで100メートルくらいです。
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マヌカの花が満開でした。
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海の青さと森の色のコントラストが美しいところです。
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写真はフォールス川 Falls River で、長い吊り橋が架かっています。
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3時間の予定でしたが、2時間かからずにトレント湾が見えてきました。トレント湾には別荘がたくさんあります。
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白い砂浜で上からも下からも照りつけるのでかなり暑いです。紫外線は相当強烈なようです。なるべく木陰を歩かなければなりません。
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この次のポイントはアンカレッジ Anchorage ですが、干潮の前後2時間はトレント湾を横切って行くことができます。それ以外の時間帯は山側の道を歩かなければならず、1時間余計にかかります。ちょうど干潮の1時間前だったので、多くの人が砂浜を歩いていました。それでも途中に山から水が流れてくるところがあるので、靴を脱いで裸足で渡らなければなりません。写真の人達は寝袋と大きなザックを背負っているので、ハット泊まりをしながら連日歩いている人です。
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時間に余裕があったので、私もアンカレッジまで歩いて行って戻ってきてもよかったのですが、無理はすまいと思い、歩く人々を眺めていました。

ひねもすこうしているのもいいものだと人が歩くのを眺めていました。私が座っているベンチの横でおばさんが靴を脱いで裸足で歩き始めたので「砂は熱くない?」と聞くと「熱くないよ」と言いました。しばらくするとさっきのおばさんは姿がわからないほど遠くに行っています。人間が歩くというのは偉大なことだと思いました。

水上タクシーの人に「迎えに行く頃は干潮で船を砂浜に寄せられないから、船が来たら靴を脱いで水の中を歩いて船まで来てくれ」と言われていました。予定時間より20分も早く船が来たのですが、けっこう沖にいて、手を振っています(写真、沖の方にいる船)。
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「えっ!あんなところまで?」と思ったのですが、仕方なく靴を脱いで砂浜から海に入ってジャブジャブ歩いて行きました。これだけ照りつけているのに砂は熱くありません。日本だと真夏の砂浜は火傷するくらい熱くなるのに、なぜなのでしょう。私の他にここから乗る人はいませんでした。船のあたりは腰の近くまで水があり、ショートパンツがかなり濡れてしまいました。

カイテリテリに戻ったのが午後2時近くでした。ここからこの日の宿泊地ピクトン Picton に向かいました。ネルソンからピクトンの間は入江が入り組んで複雑な地形のため、3時間くらいかかります。ハブロック Havelock というところからクイーン・シャーロット・ドライブ Queen Charlotte Drive に入ると、マールボロ Marlborough 地方になります。実に複雑な海岸線で多くの島があります。このような地形は日本にはありません。この一帯を総称してマールボロ・サウンド Marlborough Sound と呼びます。まずカイウマ湾 Kaiuma Bay が見えてきました。
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この入江はケネプル・サウンド Kenepuru Sound と言います。
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カーブの多い道ですが、カーブを曲がるたびに美しい海が見えます。やがてマールボロ・サウンドでもっとも有名なクイーン・シャーロット・サウンド Queen Charlotte Sound になります。
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そしてピクトン港が見えてきました。
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ピクトンから車で7分のところにビーチ・サニーベイル・モーテル Beach Sunnyvale Motels があります。途中の景色がいいため、何度も車を停めたのでそこに着いたのは午後6時でした。モーテル経営者の奥さんは那子(ともこ)さんという日本人です。ご主人の Colinさんは日本のレストランで働いていたことがあり、日本語が少しできます。人の好さそうな夫婦です。夕食のあと1時間くらいお茶を飲みながら3人で話しました。Colinさんは日本語を練習したいから日本語で喋り、私は英語の練習をしたいから英語で喋る、那子さんはその両者を取り持つという珍妙な会話でした。

(2011/1/16)
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by tochimembow | 2011-01-19 12:25 | 国立公園とその周辺

ネルソン・レイクス国立公園の二つの湖

ニュージーランド南島の北部に3つの国立公園(ネルソン・レイクス国立公園、アベル・タスマン国立公園、カフランギ国立公園)がかたまっています。この方面は行ったことがないので、3泊4日の日程で出かけました。

1日目はネルソン・レイクス国立公園 Nelson Lakes National Park を通ってネルソン Nelson までの旅です。ルイス峠 Lewis Pass (854m) を越えて、国道6号でカフランギ国立公園 Kahurangi National Park をかすめ、ネルソン・レイクス国立公園に入ります。この国立公園は二つの大きな湖、ロトロア湖 Lake Rotoroa とロトイティ湖 Lake Rotoiti が中心です。
 まずロトロア湖に行きました。静かな湖で人もそれほど多くはありません。
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ここはキャンプ場はありますが、宿泊施設はないようです。湖畔から歩く 一周30分のNature Walk という道があったので、そこを歩きました。シダがたくさん生えています。
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写真右に傘が骨だけになったような木があるのがわかりますか?ランスウッド lancewood という木です。NZのあちこちで見かけます。枝が下を向いているのは絶滅した巨鳥モアに食べられないようにするためそういう形になったと言われていますが、そういう形だからモアに食べられず生き残ったというのが正確でしょう。
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次にここから約30分のロトイティ湖に行きました。国道63号に入り、セント・アーノード St. Arnaud に向かいます。
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ロトイティ湖はセント・アーノードにあり、かなり便利なところです。
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なんとなくロトロア湖と似ていますが、こちらには人がたくさんいて、宿泊施設もあります。インフォメーション・センターで手軽に歩けるところを相談したらループ・トラック Loop Track を勧められました。一周1時間半です。
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主にブナ林の中を歩きますが、少しアップダウンがあります。ブナに特有の寄生木 beech mistletoe がきれいです。
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木の枝から垂れ下がっているのはゴブリン・モス goblin moss というコケで、日本のサルオガセに似ています。これがたくさんあるところを歩くと幽玄の世界をさまよっているような感じがします。
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今日の宿泊地ネルソンはクライストチャーチから車で約6時間かかるところなので、あまりゆっくりもできず、ここのウォーキングが終わった後はまっしぐらにネルソンに向かい、町中のモーテルに泊まりました。
(2011/1/15)
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by tochimembow | 2011-01-19 10:28 | 国立公園とその周辺

「駐車違反」に抗議する

クィーン・シャーロットを歩いた日(1月17日)のことです。ピクトンの水上タクシーの会社が入っている建物の横の駐車場は一日車を置いても大丈夫と聞いていたので、そこに車を駐車して、クィーン・シャーロット・トラックを歩き、水上タクシーで6時半頃に戻ってきました。車でモーテルに帰る途中、ワイパーに小さい紙が挟んであるのに気がつきました。「駐車違反」のチケットで、罰金40ドルを City Council (本来は市議会の意味だが、市役所のことらしい)に行って支払いなさいと書いてあります。よく読むと「パーキング・メーターをOFFにしてなかったから違反になる」とあります。「パーキング・メーターなんてなかったぞ」と思って、その日は役所が閉まっているので、モーテルに戻って宿の主人に見せ「こんなものをもらったけど?」と聞くと「あそこは無料のはずなのに、おかしいな。車の前にパーキング・メーターがなかったか?」と言います。「まさか、あそこは普通の駐車場で、そんなものありゃせん。パーキング・メーターって路上駐車するときのものだろう」と言うと、「確かにそうだな。僕はアドバイスのしようがないな」と逃げられました。結局、翌日役所で交渉するしかありません。

翌朝 City Council に行くとおばあさんの職員(どう見ても70歳を超えているけどそれでも市職員らしい)が出てきました。

二人の会話です。
私:こんなものをいただいたけど、ここに書いてあるパーキング・メーターなんてなかった。それはここに来る前にもう一度確認してきたゾ。

職員:これは駐車場の真ん中に機械があってそこで2ドル払うとチケットが出てきて、そのチケットをダッシュ・ボードの上に置いておけば、パーキング・メーターをOFFにしたということになるのだ。

何でそれがパーキング・メーターをOFFにしたことになるんだ。私は日本人で、ここに来たばかりだし、そんな変な習慣がわかるはずはない。ここは外国人観光客がたくさん来て車を置くところなのにこれではみんな理解できないじゃないか。
(実はday park 一日駐車は2ドルと書いた看板があるのにこの日初めて気がつきました。無料とばかり思い込んで前の日はよく見なかったのです。そのことは黙っています)

するとおばあさんが用紙(クレーム申告書らしい)を出して、
ここに名前、住所、電話番号を記入して、駐車の仕方がわからなかった理由を書いて、最後にサインをしなさい。
 私が書き込むのを見ながら、
パーキング・メーターとは路上にあって1台ずつ車の駐車料金を入れるものだと思っていたと書く方がいいよ。
(親切にアドバイスしてくれます)

おばあさんは何とかしてやろうと思っているなと感じて、
これを出せば払わなくてすむの?

うまくいけば(Hopefully)、払わなくてすむ。

Hopefully? それはいつわかるか?

いつまでNZにいるの?

あと2ヶ月いる。

それまでにはわかる。

じゃぁ、もし払わなければならないときはクライストチャーチで払えるの?

それはできない。ここに来て払ってちょうだい。

ご冗談でしょう。クライストチャーチからピクトンまで300キロあるから、ここまで払いに来たら罰金の何倍もお金がかかるじゃない。
そこで二人で大笑いしました。

Hopefully 払わなくてすむでしょう。

I hope so. といって去りました。

つたない英語で一生懸命抗議して、おばあさんは「この英語ができない日本人は多分ここのルールもよく理解できなくて可哀相だからなんとかしてやろう」と思ったのでしょう。
 最初行くときは「いい景色を堪能したから40ドルくらいピクトン市に寄付してもいいか」と思っていたのですが、おばあさん職員の好意でなんとかなりそうです。どういう顛末になるかはわかりませんが、もし不払いですんだら、今度ピクトンに行くことがあれば40ドルを寄付してあげようかと思っているところです。
(2011/1/18)
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by tochimembow | 2011-01-18 15:11 | 車のこと

バンクス半島を歩く Banks Peninsula

バンクス半島 Banks Peninsula は600万年前に二つの火山が大爆発してできました。そのとき半島の周りにギザギザの海岸ができ、独特の景観を見せています。この半島で観光の中心となっているのがアカロア Akaroa です。ここで一番高い山は Mt. Herbert で920メートルしかありませんが、ダイアモンド・ハーバーの海岸から上っていかなければならないので、健脚向きです。この日はそこは避けて半島の先端付近にある Otepatotu Scenic Reserve(オテパトツ景観保護区?)と Ellangowan Scenic Reserve(エランゴワン景観保護区?)を歩きました。
 昼前にクライストチャーチを出て約1時間でバンクス半島に入り、さらにそこから30分でアカロアに着きました。サミット・ロード Summit Road を上がり、オテパトツの駐車場に車を置いて、写真のような大きな岩を目指して歩いて行きました。
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その岩の崖上から見た景観です。
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そこからさらに Lavericks Peak (755m) まで登りましたが、頂上には風力発電の風車があり、それほどの感激はありませんでした。別の道で下りましたが、そのとき見た花です。名前はわかりません*。
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そこを降りて次にエランゴワン景観保護区に行きました。駐車場付近から美しい海が見えます。写真はロング湾 Long Bay ではないかと思われます。
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ガイドブックには駐車場から下って5分のところに緑と黄色のDOC(環境保護局)の標識があるので、そこから登れと書いてあるのですが、見つからず、小さい標識があるのでそこで考えていたら、ちょうどNZ人夫婦が来合わせたので「どこだろう?」と尋ねると、ご主人は「ここかもしれない」と言いました。私が「これは緑ではないし、DOCの標識はもっと立派だよ」と言うと、奥さんは「もとは緑だったんじゃない?」と無責任なことを言います。結局「僕らは後からついて行くからお前が先に行け」と言われ、ヤブの中を登っていきました。10分もしたら明るい岩場に出、そこから岩場を伝って登っていくと頂上らしきところに出ました。
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後から追いついた夫婦に写真を撮ってもらいました。
e0207997_8411083.jpg

バンクス半島先端にある湾が3つほど見えます。
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いずれもきれいな湾で、後日行ってみたいところです。頂上にははっきりした標識があり、それにしたがって降りていくと上りの出発点とは全く違うところに出て大きなDOCの標識がありました。しかしそこは駐車場から歩いて20分もありました。登ったのはショート・カットの道で、こちらの方が駐車場に近くてよかったです。

10月にアカロアに行ったときはサミット・ロードから間違った道に入り、さんざんな目にあいました(レポートはここ)が、今回はトラブルなく帰ることができました。

* この記事へのコメントが来てこの花はジギタリス(キツネノテブクロ)であることがわかりました。ジギタリスを研究に使っていたのに、気づかないとは不覚です。コメントをくださった方に感謝します。
(2011/1/13)
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by tochimembow | 2011-01-14 08:45 | ウオーキング

キーウィ それぞれの生活事情

キーウィ(Kiwi ニュージーランド人)がどのような暮らしをして、どのような考えを持っているかは相当な数の人に聞き、相当調べないとわかりませんが、これまでに知り得た範囲のことを断片的に書きます。間違った情報もあると思いますので、適宜訂正していきます。

・人生で大切なもの キーウィに人生で大切なものは何かと聞くと、男性の多くは「家族、スポーツ、ビール」と答え、女性は「家族、友人、スポーツ」と答えるそうだ(日本ニュージーランド学会編「ニュージーランド入門」)。家族が真っ先に上がるのはわかる。初対面のキーウィに私が聞かれるのは「どこから来たのか、いつ来たのか、いつまでこの国にいるのか」ということで、それを聞いた後でかならずと言っていいほど聞かれるのが「家族と一緒に住んでいるのか?」である。「一人で住んでいる」と答えると実に複雑な表情(まずいことを聞いてしまった)をする。「妻は働いているので一緒に来れなかったが、休暇を取って年末に来ることになっている」と付け加えると、一様に安心した顔を見せる。それほど家族を重視しているということであろう。しかし一方で1/3の人が離婚するというデータもあり矛盾するようにみえる。アメリカでも離婚経験の夫婦が家族第一と言う人が多いから、家族を大事にする人は離婚しないというわけではないのだろう。男女ともスポーツを挙げているのは面白い。アウトドア・スポーツに生き甲斐を感じているような人は多い。これほど多種多様なスポーツに人々が参加している国を私は知らない。バンジージャンプはNZが発祥の地である。自転車や椅子に乗ったまま飛び降りるバンジーもある。「ビールが大切」はジョークだろうが。

・仕事第一か、生活第一か? キーウィの生活信条は一生懸命働いて、地位や高い収入を得るより、生活をのんびり楽しむことにあるようだ。午後5時になると仕事をやめて帰るか、遊びに行く人が多い。私の経験ではこの点でカナダも似ている。日本はかつてがむしゃら仕事人間の大国であったが、バブル崩壊以後挫折した。のんびり型に切り替えることもできず、いまだに方向を見いだせないでいる。

・キーウィはフレンドリーか? アメリカ人のように初対面でも10年来の友人であるかのようにオーバーに親交の情を示す人は少ない。道ですれ違うときこちらが黙っていると知らぬそぶりで通り過ぎる人は結構いて、日本人のように一見シャイにも見える。しかしこちらが相手の目を見て、ちょっと会釈すると、ほとんどの人が言葉で挨拶してくる。そこから打ち解けて話をすることも多い。道を尋ねたりするとほとんどの人が親切に教えてくれる。

・人材流出 NZの平均国民所得は日本の約70%と低い(米ドルで換算したとき)。平均年収は250万円くらいか。技術や資格を持っている人はオーストラリアの方が高収入なので、優秀な技術者がオーストラリアなどに国外流出し、国にとって大きな頭痛のタネとなっている。そのためか技術者や資格のある外国人が移住しようとすると永住権を取りやすい。

・NZは世界一の福祉国家だった 年収が40,000~60,000ドル(日本円で280~400万円)あると収入の3分の1が所得税で引かれる。しかしそれ以外に年金積立・健康保険料はない。だから給料から天引されるパーセントは日本とあまり変わらない。老齢年金、医療費、失業保険は保障されている。病院に行っても医療費は支払わなくていい(歯科、高度医療は別だと思う)。失業保険は勤労時の65%が支給され、10年間もらい続けることもあったが今は厳しくなった。失業保険だけで暮らしている人は多い。老齢年金は65~72.5%が支給される。15歳までの義務教育は無料である。葬式費用も自治体から出るという。
 車の死亡事故で加害者が賠償する義務はない。国から4万ドルの死亡保障が出る。これでは事故死したらとても遺族を養えないと思ったら自分で自分に死亡保険をかけるしかない。かつてNZは世界一の福祉国家と言われたが、財政悪化でその内容は次第に低下してきた。それでもセーフティ・ネットは日本よりはるかに高いのではないだろうか。消費税は昨年9月までは12.5%だったのが、10月から15%に値上げされた。それを含めても食料、日用品の物価は日本より安い(現在の為替レートで計算すると)。

・産業 製造業はほとんど酪農・農業生産物の加工、羊毛関係である。農産物の半分は輸出している。機械工業は少ない。電気製品は輸入品が多い。美しい風景と短い移動時間をアピールして最近映画のロケ誘致に力を入れている。

・車 自動車産業はもちろんなく、車はすべて輸入である。日本車が占める率は日本より高い。毎年約10万台の中古車が日本から輸入されている(最盛時は20万台)。「横浜トヨタ」などというステッカーを貼った車が走り回っている。走行距離20万キロ、30万キロでも乗っているので、日本車の耐久性を証明しているようなものだ。スバルの車がやたら多いので、中古車屋さんに「なぜか?」と聞いたが、「この国に合っているんでしょうかね」という答だった。アウトドアが盛んなこととこの国で行われる世界ラリー選手権大会(WRC)にスバルのインプレッサが出場し、常に優勝候補だったことから知名度が高いのであろう(昨年から出場をやめたが)。韓国車は増加傾向にある。アメリカ車はフォードが多い。Holdenという車が走っているが、これはGMのオーストラリア子会社で作った車。

・観光立国 430万の人口の国に年間240万人が観光で外国から訪れ、観光収入はGDPの13%を占める(Wikipedia)。だから観光は税収の点でも雇用の点でも重要な産業である。日本人観光客は年間14万人で、豪、英、米に次いで4番目であるが、日本人は金を落とすのでいいお得意様である。捕鯨問題でNZがオーストラリアよりやや弱腰になってきたのは、日本人がNZの印象を悪くしてもらいたくないという気持ちがあるのかもしれない。

・ニュージーランド特産品 私がこれまで見た限りでお土産になりそうなNZ特産品はマヌカ・ハニー(食品には限らない)、メリノ・ウール・セーターなど毛製品(ポッサムとの混紡はいい)、ヒスイの装身具、ワイン。

・皮膚ガンが多い国 NZは南極に近いため上空にオゾンホールがあり、紫外線は日本の7倍強い。そのため皮膚ガンになる人が多い。それにもかかわらず、戸外で帽子をかぶっている人は1割くらいしかいない。よっぽど強力な日焼け止めを塗っているのだろうか?私は紫外線で目が痛くなることが多い。

・禁煙国宣言
 公共施設、レストラン、バー、ホテルのロビーで喫煙は認められていない。現在、タバコは1箱1,000円以上するらしい。NZは2025年に国中を全面禁煙にする方針を決めている。愛煙家の住めない国となる。

その他 
・クライストチャーチにいる外国人
 クライストチャーチには約1,500人の日本人が居住し、日本人会(カンタベリー日本人会として)には500名(200世帯)ほどが加入している。働き盛りの日本人でNZに永住しようとする人は少なく、若い人で永住権を持っている日本人はワーキング・ホリデーでNZに来てキーウィと結婚した女性が多い。NZでリタイア人生を送る人は多いようだが、日本の年金が減少傾向のため難しくなりつつある。韓国人会には5,000名、中国人会にはおそらく2万人の会員がいる。実数はその何倍かいるだろう。韓国人、中国人は家族ぐるみで移住する人が多い。韓国には高校・大学入学をめぐって激烈な受験戦争があり、それを嫌って移住してくる人も多い。NZ政府と中国政府は中国人のNZ移住を積極的に推進するという取り決めをしているのでNZに住む中国人はうなぎ登りに増えるであろう。
(20111/1/12) 
(福祉制度について誤りがあるというご指摘がありましたので、一部訂正しました。コメントありがとうございました。 2011/1/13)
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by tochimembow | 2011-01-12 05:45 | 暮らしの風景
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定年退職後、リフレッシュのためニュージーランドを半年間漂流しているうちクライストチャーチ大地震に遭遇。日本に戻ったら、またしても働くことに。 片雲の風にさそはれて漂泊の思ひやまず(芭蕉)


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