人生漂流

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無人島を歩く Quail Island

リトルトン湾にQuail Island (クエイル島)という小島が浮かんでいます。これは前日ポート・ヒルズから見たときのQuail Islandです。
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昔はquail(ウズラ)の天国だったのですが、今は絶滅して名前だけが残っています。この無人島にウォーキング・コースがあるので「なんか、面白そう」と行ってみました。渡し船が1日1往復します。12時20分にリトルトンから運んでくれ、3時間後に迎えの船が来ることになっています。船は30人くらい乗れる大きさでしたが、乗船したのは私と老夫婦の3人でした。その奥さんが地図を指しながら「このコースは地震で崩れて通れない」とかいろいろ教えてくれました。ご主人の英語はよく聞き取れないので、もっぱら奥さんと話しました。かなり詳しいので、「ここは何回目ですか?」と聞くと”many, many, many times”と答えます。相当の常連のようです。

船を下りて彼らと私は西と東に別れ、歩き始めました。
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無人島を一人で歩くなんてなんとなくワクワクします。やがて写真のような小屋の跡があり、案内板を見ると「100年前の”Leprosy Colony”の跡で、ここに患者が隔離されていた」とあります。leprosyの意味が分からなくて、もしやライ病(ハンセン病)のことではないかと後で調べたらやはりそうでした。この小さい小屋に病人6人が収容されていた(というより「放置」されていたみたい)そうです。ここで亡くなった人の墓も近くにあります。
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次にスコット大佐が訓練した犬の犬舎の土台が残っていました。スコット大佐はイギリス人で、アムンゼンと南極点初到達を争って、わずかの差で敗れ、失意の帰途で遭難して探検隊全員が死亡しています(1912年)。彼はこの島で南極に連れて行く犬、馬、ラバの訓練をしたそうです。

この島には老夫婦と私の3人しかいないと思っていたら、途中で道の草刈りをしているおじさんがいました。だから歩く道がきれいに整備されていたんだ。おじさんに「大変ですね」というと”Easy access for you”(あんたが歩きやすいようにね)と言ってくれました。何だか嬉しくなるような答でした。

しばらく歩いて海岸を見下ろすと船の残骸のようなものがありました。案内板には「船の墓場 Ship Graveyard」とあります。
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8隻の船の残骸ですが、どれとどれか分かりますか?一番大きいのはオーストラリアで1865年に建造されたDarra号で、リトルトンから石炭を運ぶのに使われていたそうです。少しずつ崩れていって年々形が分からなくなってきているようですが、100年以上前の船がこんなに集まって難破したままの状態にしてあるのは、人が死んで骨だけが残されているようなもので、不思議な感動を覚えました。
この島には避病院以外に人が住もうとしたことがあり、Wardという兄弟が農場を開墾しようと家を建てたのだが、完成直前に海で溺れて亡くなったという看板も見ました。この崖の上の方に建物の残骸があります。
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帰りの船を待っていたら、乗客が7人に増えていました。どこから湧いてきたんだ?さっきの草刈りおじさんもいます(どうも仕事ではなく、ボランティアで草を刈っていたみたい)。日焼け止めを塗って顔が真っ白になっているおばさんに「昨夜はここに泊まったのですか?」と聞くと「3晩泊まったのよ」と言います。テントではなくどこかの小屋に泊まったらしいです(さっきの避病院か?)。無人島ですが、何かいろいろと歴史と関わりのある島で、この島に一人で泊まっていると小泉八雲の「耳なし芳一」のように何か亡霊が話しかけてきそうで、ちょっとそれはご勘弁という感じです。

歩いてみると意外に広く、変化に富んだいいコースでした。すべてがスローに過ぎていく気持ちよさと、とても不思議な体験をしたような感覚が残り、印象的な島でした。
(2010/11/9)
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by tochimembow | 2010-11-09 19:16 | ウオーキング
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定年退職後、リフレッシュのためニュージーランドを半年間漂流しているうちクライストチャーチ大地震に遭遇。日本に戻ったら、またしても働くことに。 片雲の風にさそはれて漂泊の思ひやまず(芭蕉)


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