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人生漂流

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飛べない鳥

NZには飛べない鳥が多い。その代表は国鳥であるキウイである。他にエミュー、ヒクイドリ、タカヘ、フクロウオウムなどがいる。なぜ飛べない鳥が多いのか?

それは、ニュージーランドは哺乳類が誕生する前に島として分かれ、オーストラリアからも遠く離れているため、鳥類だけが棲息して、哺乳類がいなかった。そのため鳥の天敵となる動物が棲んでおらず、鳥は飛ぶ必要がなく羽根が退化して、飛べない鳥が多くいるようになった。

約1000年前にNZの先住民族であるマオリ人が住みつき、食用に鳥を狩猟するようになった。併せて、外国からネズミ、ポッサム(フクロギツネ。オポッサム[フクロネズミ]とは異なる)、イタチなどが持ち込まれるようになり、外来の動物が繁殖して、飛べない鳥を捕食するため、こういう鳥は絶滅の危機に瀕している。キウイは日本のトキと同様、絶滅寸前で野生での姿を見ることはきわめてまれであるという。すでに絶滅してしまった種も多く、世界最大の鳥であったモア(moa 体長3メートル)はマオリによって獲りつくされて5世紀前に絶滅したと言われ、博物館で骨格標本から作った模型を見ることしかできない。
飛べない鳥_e0207997_8314736.jpg

(写真はカンタベリー博物館にあるモアのレプリカ。最大の系統の体重はメスが250キロ、オスが70キロあったと推定されている。モアは飛べないが、時速80キロで走る俊足の系統もいたようだ)

ポッサムは現在7000万匹までに達し、国民の嫌われ者となっている。にわかに信じがたいが、NZ原産の鳥を守るためNZ政府は道路でポッサムを見かけたら、避けずにひき殺すよう奨励している話まである。

我々は、鳥は自由に大空を羽ばたきたいから飛ぶのだと勝手なことを考えるが、実は捕食者から逃れるために飛ばざるをえないのだ。鳥にしてみたら自分の体重を持ち上げて飛ぶというのは大変な労働であろう。飛ばなくてもいいのなら、怠けていようとしていて、そのうちに飛べなくなったということである。何か教訓めいた話でもある。

キウイ(キーウィ) Kiwi の三つの意味
鳥のキウイは「キーウィー」と鳴くので、マオリ族が Kiwi と名付けた。人なつっこい鳥で、人間がいると後をついてくるそうだ。だから愛されるわけだが、警戒心のなさが絶滅の危険性にもつながっている。果物のキウイは正確にはキウイ・フルーツである。ニュージーランド人の別称としてキウイという言い方をすることもある。「ニュージーランド人」は英語では New Zealander であるが、自分のことを Kiwi と言う人が多い。鳥のキウイは雛がかえるとオスが主に子供の面倒を見るので、家事をよく手伝う夫をキウイ・ハズバンドと呼ぶこともある。ニュージーランド人の蔑称でもあるらしいので、我々はニュージーランド人を気軽にキウイと呼ぶのは慎重である方がいい。
Kiwi (Wikipediaより)
飛べない鳥_e0207997_8362218.jpg

by tochimembow | 2010-11-12 19:51 | モノローグ
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片雲の風にさそはれて漂泊の思ひやまず(芭蕉)


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