人生漂流

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町と人々の表情 (地震5日後)

地震後5日目となり町は落ち着きを取り戻しつつあります。隣の家のカップルは地震の2日前に引っ越してきたばかりですが、今朝そこにいる女性に会ったので立ち話をするとイギリスから来たそうです。昨日は山登りに行って遅く帰ってきたと言っていました。これからアーサーズ・パスにロック・クライミングに行くそうです。私が北島に行っている間、彼らが家の周囲の泥片付けをやってくれたとあとで大家さんから聞きました。あとでお礼を言わなければ。

ガソリン・スタンドに行ってみたら営業していてガソリンを入れることができました。レジでお金を払うとき店のおじさんが「日本人か?」と聞いて「日本から来たのなら地震は平気だろう?」というから「こんなでかい地震は経験したことがないよ」と言いました。その冗談から明るさが戻ってきているのを感じました。

市からの広報には水道水は汚染されている可能性があるから、沸騰消毒して使いなさいとあります。電気が来ていない場合は台所のブリーチ(キッチン・ハイター)を2Lの水に小さじの1/4入れて、30分おいてから飲みなさいと書いてあります。そんなものを入れて飲めるのか?またサラダなどは作らず、調理されたものを食べなさいともあります。

水が出ないので自分で調理してもフライパンや鍋を洗うだけの水はありません。仕方ないので今日はファースト・フードですますかと北にあるショッピング・モール (Northland Shopping Mall) に行ったら、スーパーが1軒 (Countdown)、日用品の店(Warehouse)、ベーカリーと寿司のファースト・フード店が開いていました。寿司屋の人(日本人)に聞いたら、きれいな水が出るところでのり巻きパックを作って運んでおり、ここでは作っていないそうです。明日からモール全体がオープンすると言っていました。ス-パーでは牛乳は一人2本までと書いてありますが、それ以外は普通に売っています。ミネラル・ウォーターはディスカウント料金になっていました。人の弱みにつけ込んでぼらないところがいい。

英会話クラスで一緒の奥さんが偶然にご主人と寿司を買いに来ていました。彼らはダウンタウンに住んでいて、パスポート、預金通帳、貸金庫の鍵などがアパートに残ったままだけど、ダウンタウン一帯を軍が警備して入れないようにしているので、取りに行けないそうです。北の方のベッド・アンド・ブレックファースト (B&B、朝食付きの宿) に泊まり続けていて私より不自由そうです。ご主人はオタゴ大学分校に研究留学できていてiPS細胞の研究をしているけど、地震でせっかく作った細胞がダメになったと言っていました。「何とかペーパー(研究論文)は書けそうですけど」と言っていました。

一部では盗難が横行したりもしているようですが、概して人々は助け合いの精神が豊かです。道路の向かい側に同じ大家さんが所有する6軒棟続きのアパート(フラット)がありますが、そこは水が出て、外に蛇口があるからそこに水を取りに行ってくれと昨夜言われました。そこでペット・ボトルをもっていったら、水道はあるけど蛇口を開ける栓がありません。うろうろしていたら外にいた見知らぬ住人が「入れてきてあげるよ」と水をくれました。他の部屋の住人も出てきていつでも水を取りに来いと言ってくれました。私が留守の間、家の前の砂もそのフラットの人々が来て片付けてくれたそうです。道路にあふれた土砂はボランティアの人々が片付けています。ダウンタウンでは食事の配給などもボランティアがやっているようです。この国の人が親切なことは前からわかっていましたが、自分の家も大変なのに他人の手助けをするのには頭が下がります。阪神淡路大震災のときはどうだったのでしょう。
(2011/2/27)

PS 
地震から10日ほどたって酒屋にビールを買いに行ったとき陳列棚のワインが少ないので「かなりのボトルが落ちたのか?」と聞くと「そうだ」と言っていました。「保険は入っているの?」と聞くと「入っている」と言っていました。この店は地震4日後の土曜日に駐車場で焼肉のようなものを作って通行人に配っていたそうです。日本の炊き出しですね。自分の店の被害は甚大なのに。

この地震で知ったのは人々が先を争って自分のところだけ水や食糧を確保しようとしないことです。不便はじっと我慢しています。そして困っている人を助けようとします。地震がなかったらニュージーランド人のこういう側面を知ることはなかったでしょう。
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by tochimembow | 2011-02-27 11:07 | 大地震
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定年退職後、リフレッシュのためニュージーランドを半年間漂流しているうちクライストチャーチ大地震に遭遇。日本に戻ったら、またしても働くことに。 片雲の風にさそはれて漂泊の思ひやまず(芭蕉)


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