ヒロシマ・ナガサキ・フクシマ

連休とあって公園には多くの観光客がいて、原爆ドームの前で大勢の人が記念写真を撮っていました。
妻が、平和記念資料館(昔は原爆資料館と言ったと思う)を見たことがないというので、中に入ってみました。

私が興味を持ったのはアメリカが広島に原爆を投下するようになった経緯です。アインシュタインがルーズベルト大統領に原爆を開発すべきと進言した手紙、アメリカが原爆を投下地を広島に決めた理由などが展示されていました。
アインシュタインの手紙

なぜドイツでなく、日本に原爆を落としたか。

広島が投下地に選ばれた理由。

資料館が混んでいたのは明らかに福島原発の事故で放射能の危険性に関心を持つ人が多かったためと思われます。今回の原発事故で日本は3度目の被爆を経験することとなりました。広島、長崎の被爆のときは日本は被害者の立場でしたが、今回の放射能拡散では近隣諸国に対して加害者の側に立ちました。参観している人々はそれぞれの思いで原発のことを考えていたに違いありません。
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先日、宮城県に住む知人が書いた記事を掲載しましたが、そのS氏があるYouTubeの動画を紹介してくれました。7月27日の衆議院厚生労働委員会で参考人として招致された東大先端科学技術研究センターの児玉龍彦教授の原発事故に関する説明です。児玉教授は「満身の怒りを込めて」国の対応を批判しています。以下のURLでそれを見ることができます。
http://www.youtube.com/watch?v=O9sTLQSZfwo
児玉教授は動脈硬化の分子生物学的研究などで有名な方で、それに関する著書も読んだことがありますが、国会でこれほど激烈な口調で政府の無策を批判するとは驚きでした。児玉教授によると、福島原発から放出された放射線量は広島原爆の20倍と推定されます。さらに福島で漏洩した放射能が減衰する速度は広島原爆の放射能の減衰速度の1/100ときわめて遅いと言っています。教授は東大アイソトープ総合センター長として東大にある27個所のアイソトープ施設を動員して、福島の放射能除染に取り組んでいますが、「私がやっていることは明白な法律違反である」と堂々と公言した上で除染活動を紹介しています。最後に緊急に取り組むべき4つの施策を訴えて「こんなときに国会はいったい何をしているのですか!」と叫んで、発言を終わっています。
児玉教授が指摘したことはきわめて重大なことで、これをマスコミが取り上げないのは奇怪です。中国の高速鉄道事故のときは証拠隠滅と鬼の首を取ったように中国当局の情報操作を批判したマスコミが、日本の国会でこれほど重要な発言がされているのに、民主的であるはずの新聞やテレビがほとんど無視しているのは、原発に関しては情報隠しがされているのではないかという疑念を持たせます。児玉教授の説明は論理的で、きわめて説得力のある話ですから、ぜひ視聴してください。(2011.8.7)